昨年末に棚橋祐介さんの工房にお邪魔しました。取り扱い作家さんの中では一番近い距離にいらっしゃるので、仕事の邪魔にならないかと心配になりながらもよくお伺いします。
棚橋さんといえば貫入を染めた器という印象の強い作家さんですが、お伺いするたび自分らしいオリジナルの色を出せないかと試行錯誤されています。安易にバリエーションを増やすのではなく、とても丁寧に新しい器を創造される姿からは仕事に対する真摯な姿勢が感じられます。
今回見せていただいた黒土の器のシリーズは以前にも一度挑戦されていたものですが、ほんのり白化粧を施された焼締めのものです。エゴマオイルでコーティングされ、オイルが馴染むことで白化粧の表情にも変化が出ます。
こちらのフリーカップは金属系の釉薬が施されていますが、ギラギラとした発色ではなく、鈍く光を反射する金属の質感です。
どちらの作品にしても、美しいフォルムやその質感、表情からは棚橋さんの作品すべてに通じる侘びた趣を感じます。
端正でどこか優雅なフォルムながら、毎日の食卓で使うのに実用的なバランスがあり、料理の盛りつけが楽しくなる棚橋さんの器。展示会は少し先の2022年の夏ですが今年中に入荷予定ですのでぜひ手にとってご覧になってください。
今回紹介した作品は僅かですがオンラインショップに掲載しています。