今年の9月のグループ展より取扱を開始させていただいている阿部春弥さんの器をオンラインショップに掲載しました。
牡丹文様が陽刻で描かれた5.5寸皿。陽刻とはあらかじめ文様を彫った石膏型に、ろくろで挽いた生地を押し付ける型打ちの技法の一つです。文様部分が浮き上がることで陰翳が生まれ表情豊かな器になります。
こちらも陽刻の豆皿。
白磁の他に、もえぎ、淡瑠璃、黄磁など、カラーリングによるバリエーションも魅力の一つです。それぞれの釉薬は阿部さんならではの個性を感じる色合いがあります。例えば白磁でも、つるっとして無個性な白さではなく、青みがかった色に手触りは柔らかく、おおらかな印象。
作家というよりは職人のようなストイックなものづくりの姿勢を感じる阿部さんの器は、民藝に親しい親近感があり暮らしに寄り添ってくれるような温かみがあります。
阿部さんらしい繊細でストイックな仕事を特にストレートに感じられるのは、亀甲状のしのぎの作品ではないでしょうか。少しでもテンポや感覚が狂えば成り立たないようなこうした装飾は凄まじい集中力の賜物です。
細部のクオリティもさることながら一つ一つの作品はプロポーションも美しく、きめ細かくなめらかな磁器の肌合いと合わさり、物としての凛とした佇まいには感動すら覚えます。