2015.01.16

窯元訪問:山只華陶苑のすり鉢


岐阜県多治見市高田町ですり鉢やおろし器を中心に作り続けている、山只華陶苑藤兵衛窯。

7代目藤兵衛である加藤智也さんを訪ねてきました。

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高田町には多くの窯元があるが、この地域は組合による分業化が進んでいて、原料の土を地元の鉱山から採取し、釉薬作りまで地域内で行っています。

訪問した日は生憎の天気で鉱山などをご案内いただくことは出来ませんでしたが、加藤さんの作業場からも鉱山を見ることが出来ました。

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藤兵衛窯のすり鉢はいわゆる「炻器」で、磁器のような光を透過する性質はありませんが、陶器に比べ固く焼きしまり硬く吸水性がかなり低いといいます。細かい粒子に混ざって少し荒い粒子があるため、すり鉢の中の櫛目(ギザギザの部分)を作る際に表面に出てきて、これが摩擦力を上げ、すり心地の良さにつながっています。

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加藤智也さんのすり鉢の一番特徴的なのは、従来のすり鉢とは違い波紋が描かれていることです。波紋にすることで、すっている間に材料が上に逃げることがなくなり、早くすることが出来、すりあがりのキメも細かくなるのだとか。
また、従来のすり鉢が型で成形し作り上げるのに対し、加藤智也さんのすり鉢はすべて手で成形されます。手間は何倍もかかり制作できる量に制限はありますが、型では成形できない形が実現でき、盛器としてそのまま食卓に並べられるようにとデザインを細部までこだわったすり鉢です。
手前が加藤智也さんのデザインされているもの、奥が従来のすり鉢。

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道具としてのすり鉢から食卓を彩るすり鉢に。
汁物や和え物、サラダやパスタなど料理も楽しくなりそうです。
お店にも幾つか仕入れていますのでぜひ手にとって見てください。
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